昔からの生活観を感じる魅力的な路地が多くあり、歩いて楽しい界隈性が残る福岡市春吉エリアに、路地空間で「つながり」、博多の魅力を体験するホテルを計画した。

博多の台所である柳橋連合市場に隣接した旗竿形状の敷地において、ホテル前面のアプローチ空間は人々が集える「路地テラス」とし、市場から一つながりの小道の空間とした。

屋外から連続したエントランスロビーの吹抜け天井には、地域の伝統的な木工技法をモチーフとした組子天井を施した。

また奥に続く路地状の空間には、カフェとレセプションが一体となった長さ10m超の木製カウンターを設置し、仕上げを釿(ちょうな)加工とすることで、木の素材感を感じられるお出迎え空間とした。

客室に向かうエレベーターホールには、地元の小石原焼の窯元に協力いただき、釉薬や焼き方によりそれぞれ趣の異なる焼き物の階数表示を製作した。

デッキプレートを表しの高天井の客室内には、時雨や朝霧など気象現象をモチーフとしたレースカーテンをデザインし、外部路地に垣間見える自然の風景を演出した。